設備管理業界、通称「ビルメン業界」で働く上で、必須な基本資格4つが「ビルメン4点セット」と呼ばれて久しいですが、実際の転職市場の評価についてはあまり言及されてきませんでした。
今回は、これからビルメンを目指す方向けにビルメン4点セットとはどんな資格か、転職にどの程度役に立つのか解説します。
ビルメン4点セットとは
ビルメン4点セットとは下記の4つの資格になります。
- 第二種電気工事士(電工2種)
- 第三種冷凍機械責任者(冷凍3種)
- 2級ボイラー技士(2級ボイラ)
- 危険物取扱者乙種4類(危険物乙4)
資格の取得優先順位
ビルメン4点セットを取得する上での優先度、取得する順番のお勧めは以下の通りです。
- 1位:第二種電気工事士
- 2位:第三種冷凍機械責任者
- 3位:二級ボイラー技士、危険物取扱者乙種4類
この順位をつけた理由と個々の資格の需要、難易度を見ていきましょう。
第二種電気工事士
資格取得でできること
第二種電気工事士を持っていると、 一般住宅や小規模な店舗、事業所などのように、電力会社から低圧(600ボルト以下)で受電する場所の配線や電気使用設備等の一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事することができます。
また、 免状取得後、3 年以上の電気工事の実務経験を積むか又は所定の講習(認定電気工事従事者認定講習)を受けることで、第一種電気工事士の免状をもらうことができます。
難易度
ビルメン4点セットの中では最も難しい資格ですが、合格率が約5割と国家資格の中でも合格率がかなり高く、取得難易度は比較的簡単な資格です。
工業高校卒業生の多くはこの資格を在学中にとっています。
資格取得の優先順位
個人的は、資格の需要の高さおよび受験機会の面で、もっとも先に取るべき資格だと思っています。
試験回数が年に2回しかなく、筆記と実技の2つの試験をクリアしないといけないため、資格取得にやや時間がかかります。
第三種冷凍機械責任者
資格取得でできること
第三種冷凍機械責任者をもっていると、主に小型冷凍空調機器を備えている施設、冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場等において、1日の冷凍能力が100トン未満の製造施設に関する保安に携わることができます。
難易度
ビルメン4点セットの中では難しい部類の資格ですが、合格率が約5割と国家資格の中でも合格率がかなり高く、取得難易度は比較的簡単な資格です。
第二種電気工事士と違い、実技がないため、試験のみで資格を取得することができます。
資格取得の優先順位
近年ではこの資格を必要としない現場も多く、転職市場の需要は低下傾向です。
しかし、試験が年に1度しかないため、落ちてしまうと資格取得が早くとも1年後になってしまいます。
そういった意味でも、早めに受験することをおすすめしています。
2級ボイラー技士
資格取得でできること
2級ボイラー技士を持っていると、250m2未満の貫流ボイラー及び25m2未満の貫流ボイラー以外のボイラーの取扱作業主任者になることができます。
難易度
合格率は50~60%と高く、難易度は比較的優しいです。
3日間のボイラー実技講習と筆記試験の合格が必要になります。
実技講習は20000円程度の費用が掛かるので注意が必要です。
資格取得の優先順位
第三種冷凍機械責任者同様、資格不要の現場が増えており、需要は低下気味です。
とはいえ、空調関係を触らないビルメンの現場は少なく、ビルメンの実務に必要な知識を見つけることができるので、取得しておいたほうがいい資格になります。
危険物取扱者乙種4類
資格取得でできること
引火性液体を取り扱う施設における保安の監督業務を行うことができるようになります。
引火性液体とは、引火しやすい液体のことで、アルコール、石油、動植物油が主に該当します。
難易度
合格率は30%~40%とほかの資格に比べると低めです。
3科目すべてで60%以上の点数を取らないといけないことが、合格率が低い理由となっています。
一方、試験日程は多いので、優先順位は低めかなと思います。
資格取得の優先順位
資格不要の現場が増えており、需要は低下気味です。
以前までは、ボイラーの燃料として重油が使われていて、重油を保存管理するためには危険物取扱者の乙種4類が必須でした。
しかし近年、ボイラーを設置している現場が減少しているため、必須資格としている会社は少ない印象です。
転職市場でのビルメン4点セット
転職市場での評価
転職エージェントの肌感覚としては、4点セットすべてが必須という会社はかなり少ないです。
圧倒的に電工2種の需要が高いため、転職だけを考えるのであれば、電工だけ取るというのでも問題はないかなと思います。
一方「入社してからボイラーをとってほしい」など、入社後に会社から要望があるケースもあるので、持っていて損はないかなと思います。
個人的には資格手当が出る会社が多いので、年収を確実に上げたい方にはお勧めです。
下の票は、資格手当のイメージになります。
資格名 | 金額 | 備考 |
危険物取扱者乙種4類 | 500円~1,000円 | 乙4以外は手当が出ないところが多い |
2級ボイラー技士 | 500円~3,000円 | |
第二種電気工事士 | 500円~3,000円 | |
第三種冷凍機械責任者 | 0円~2,000円 | 手当がないところが多い |
合計 | 0円~9,000円 |
4点セットを持っていても10,000円も給料が上がらないというのは衝撃ですよね…
ビルメン業界の年収や資格別の年収をまとめた記事は下記になります。取得する資格を考えるうえでぜひ参考にしてみてください。
他に取るべきビルメンの資格
ビルメン3種の神器
エネルギー管理士、ビル管、第三種電気主任技術者の3つの資格をさします。
特に第三種電気主任技術者は、転職市場でかなり重宝される資格でもあり、経験を積むと業務委託の案件も増え、働き方の自由度が増すのでお勧めです。
詳細はこちらの記事を参考にしてみてください。
ビルメンへの転職に向けて準備
ビルメン業界の転職は、他業界よりもかなりハードです。
有効求人倍率は0.79倍と完全な買い手市場で、企業側のほうが力が強い状態だからです。
面接で聞かれる、志望動機や逆質問などにどのようにして答えればいいか、転職エージェントが解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
最後に
ビルメン4点セットの中でも、電気工事士だけ需要が高く、他資格は近年需要が低下していることをお伝えしてきました。
とはいえ、現場で応募時に必須資格になっていたり、現場で必要になる場面はありますので持っているに越したことはありません。
ぜひ、皆さんの転職活動にお役立てください。
まずは転職エージェントに無料相談してみよう!
転職エージェント目線で、ビルメンの転職にお勧めの転職エージェントをまとめました。
落ちた企業はしばらく受けられないことも多く、間違った転職活動のせいで、ホワイト企業へ行けるチャンスをつぶしてしまうことはざらにあります。「ビルメンランキング上位の企業に本当は行けたのに…」なんてこともあり得ます。
転職をすると決めていない方も、情報収集を始めるには早いに越したことはありません。ぜひ転職エージェントを有効活用してください!
コメント