電験3種の資格を持ち、長年の実務経験を積んだにも関わらず、年収300万円という現実に直面した茨城県在住の50代男性。彼の転職体験は、多くの技術者が直面するかもしれない厳しい職業世界の一端を映し出しています。
この記事では、彼がどのようにしてキャリアの岐路に立ち、困難を乗り越えたのか、その実話を深掘りします。転職市場の変化、資格がもたらす価値、そして50代という年齢でのキャリア変革の現実…
皆さんのキャリアを考える1つの材料になれば幸いです。
ご経歴
高専を卒業して、大手開発メーカーに研究職として入社、累計3社で研究開発業務に従事。その後食品会社の自社工場施設の設備管理員を経て、知り合いの電気工事会社に入社。研究畑出身ということもあり、論理的で性格も穏やかな話しやすい方でした。
役職定年後、のんびり仕事をしていたが知り合いの電気工事が人手不足ということもあり設備管理員をやめて電気工事士になるも、体力もつかい毎日泥だらけになる電気ケーブル施工工事が性に合わず、転職をしたいという方でした。
希望年収も350万円もらえればよいとのことで、そこまで希望年収も高くなく、どこかしらに転職はできるだろうとご本人も思っていたようです。
転職エージェント視点からみても、電験をもっていて設備管理経験が10年以上ある方だったので、どこかしらの設備管理会社or保安協会には内定がもらえるのではという所感でした。1点、食品系の工場設備しか経験がないところは不安材料でした。
年齢 | 57歳 |
居住地 | 茨城県の都心部 |
最終学歴 | 高専卒(工業化学科) |
経験社数 | 5社 |
保有資格 | 電験3種、電工1種、公害防止責任者、危険物乙4、高圧ガス製造保安責任者など |
経験 | 研究開発13年、設備管理13年、電気工事2年 |
現年収 | 300万円 |
いざ書類応募も全滅
ご本人の希望もあり、まずは長年経験のある独立系の設備管理会社5社に書類を応募しました。しかし結果は全滅。採用担当者に理由を聞くと軒並みこんな回答でした…
長年、設備管理経験があるとはいえ、冷凍食品工場だけの経験だとちょっとね…
研究畑出身の人は、我が強い人も多いから新しいこと50超えてから覚えられないと思うよ
採用担当者
「1つの設備管理経験だけだとやはり独立系の設備管理会社はきついか…わかってはいたが、まさか全部落ちるとは」というのが正直な私の所感でした。柔軟性があり穏やかな人だと伝えるも、過去研究畑の人をとって失敗した経験があるからNGの一点張り…。設備管理職は買い手市場の傾向が近年強く、なかなか要件緩和ができず、結果は覆りませんでした。
ご本人に伝えると、「実は他社エージェント経由で進めていたところもすべて落ちてしまいました」とのこと。自分のこれまでの経験が評価されず、落胆しているご様子でした。
その後
とはいえ、冷凍食品工場の設備管理員の募集は通える範囲で募集がかかっているところはなく、経験がダイレクトに生かせる募集はその当時ありませんでした。本人的には、保安協会の忙しさを知っているため保安協会への転職は乗り気ではなく、結果現職に留まるという判断をしました。
それから半年後、連絡をしてみると現職はすでにやめて、設備管理と全然関係のないバイトで食いつないでいるとのこと。それなら電験3種を活かしたほうが稼げますよということで保安協会を受け、年収330万円で内定。
現在は地元の保安協会で働いています。
教訓
様々な設備の経験がないと、40代以降で管理会社への転職は難しい
今回の方は、設備管理経験があるといっても冷凍食品工場の設備管理経験のみでした。管理会社の扱う物件の多くは、オフィスビルや商業施設の設備管理であることが大半のため、ニッチな領域の設備管理経験のみだと、経験者でも書類選考すら通らないという現状があるようです。
ビルメンとして生きていくという方は、なるべく多くの施設の経験をしていたほうが、転職市場では評価されることは間違いないです。
給料は下げて入社するな
この方は、知り合いの会社に入社する前は年収550万円くらいもらっていましたが、知り合いの電気工事会社に入社するタイミングで200万以上さげたため、転職市場では、年収300万円のひとという位置づけの人になってしまいました。
いかに前々職で稼いでいても、現職の給料で判断されてしまうことが多く、給料を下げての転職はよほどのことがない限りおすすめしません。この方も知り合いの電気工事士会社を挟まずに、そのまま保安協会に入社していれば、おそらく400万円以上の年収の提示はあったと思います。
電験3種×実務経験はやはり保険になる
電験3種と実務経験3年以上があれば、保安業務に就くことができます。この要件を満たすだけで、最悪ほとんどの保安協会の内定はもらえると思います。
この方も、もし電験3種持ちではなかったら、年収をさらに下げるorバイトや契約社員でビルメンとして働くか、別の職種につくしか選択肢がなかったかもしれません。
まだ電験3種を持っていない人であれば、ぜひ電験3種の取得を目指すことをおすすめします。勉強が苦手な方は、認定取得という方法もあるので、ぜひ検討してみてください。電験3種は最強の保険です!
認定取得で電験3種をとるには?取れる会社の見つけ方も伝授します
まずは転職エージェントに無料相談してみよう!
転職エージェント目線で、ビルメンの転職にお勧めの転職エージェントをまとめました。
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