ビルメン業界の将来性は?AIによってビルメンは仕事がなくなるのか

ビルメン

ビルメンといえば、楽な仕事という印象を持つ方も多いと思います。故に景気の良し悪いにかかわらず、転職希望者が一定数いる業界です。

一方、労働人口の減少に伴いビルの数は減っていく、メンテナンス業務の自動化により仕事が機械の置き換わっていくなど将来性に不安を感じる方も多いかと思います。

ビルメン業界の現状やトレンド、今後の動向をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

ビルメンの現状

ビルメンの市場規模の推移

ここ数年、ビルメンテナンス業界の市場規模は4兆円前後を推移しており、急激な成長や衰退はない安定した業界だといえます。

矢野経済研究所_ビルメンの市場規模

内訳を細かく見ると、住宅が約1,579億円(前年度比102.8%)、非住宅が約4兆1,845億円(同102.6%)と非住宅が全体の9割以上を占めています。

また、非住宅の中では最もシェアが高いのは事務所ビルで、市場規模は約9,460億円と、ビル管理市場規模のおよそ20%以上を占めていえます。

ビル管理市場に関する調査を実施(矢野経済研究所_2022年)

ビルメン(非住宅)の市場規模

あるジャンルでビルメンの市場が形成されているわけではないため、どこかの業界が不況に陥ったらビルメンも不況になるわけではないというのが強みといえそうです。

一方、コロナのようにすべての業界に影響があるような出来事が起こると、全体への影響は通常産業より多いとも言えます。

有効求人倍率

ビルメンは、他業界に比べると採用されにくい業界です。

厚生労働省の発表によると、全産業平均の有効求人倍率は1.27倍(2022年6月)に対して、ビル管理の有効求人倍率は0.79倍となっています。

わかりやすくすると、ビルメンの求人79件に対して100名が応募している状態なので、希望しても採用されない人が出ている状態です。

平均年収

厚生労働省のデータによると令和4年ビルメンの平均年収は、432万円です。全国の平均年収が442万円なので、平均よりも若干低い金額となっています。

また、平均月収が24万円程度となっており、地域によってはやや生活が苦しいと感じる人もいるかもしれません。

月給24万円でどうやってせいかつしているの?時になった方もいるかと思います。ビルメンの働き方が気になる方はこちらの記事を参照ください。

厚生労働省_ビルメンの全国平均年収

ビル施設管理(厚生労働省)

ビルメンの将来性

市場規模の予測

ビルメン業界は今後ゆるやかに衰退していくと予想されています。

1つ目は人口減少です。労働人口の減少や、リモート勤務の登場によるオフィス出社需要の減少などにより、オフィスビルの建設数は今後減少見込みです。先に説明した通り、ビルメン市場におけるオフィスビルの占める割合は高いため、影響は小さくはないです。また、人口減少に伴い、商業施設や学校等の減少が見込まれます。オフィスビル以外のビルメンも市場規模が縮小していくのではと思われます。

2つ目がITによる効率化です。BIM活用のIOTの活用や、AIの活用により、ビルメンの業務の一部が効率化されることが予想されます。監視業務や、空調の温度設定など多様な業務でITの活用が検討されています。

平均年収の予測

平均年収は今後大幅に上がる可能性は少ないと個人的には考えています。理由は下記2つです。

1つ目は、各社の利益率の悪化です。ビルメン市場全体が縮小するため、各社売上を上げることは困難になってきます。おそらく、今よりも厳しい価格競争になると予想されます。そのため、各社に利益率が悪化し、結果的に待遇が今よりも悪くなる可能性があります。もちろん、ITによる効率化で逆に利益率が上がる可能性もありますが、個人的には、価格競争のインパクトのほうが大きいと考えています。

2つ目は、ITによる効率化です。ビルメンは多数の業務がIT化される可能性があり、今の人数よりも少ない人数でメンテナンス業務ができる可能性が高いです。少ロットの業務が多数あるという業務の特性上、人がいなくなることはないと思いますが、人の重要性は下がり、今よりも専門性が必要ない業務になっている可能性があると思います。一方、選任など法律上、資格保有者を置かないといけないといった制約はあるため、上位資格の保有者の待遇は堅調だと予想しています。

一方、系列系のビルメン会社は親会社が安泰の限り給料が下がることはないと思っています。むしろ、親会社の人手不足や働き方改革により、ビルメン会社の待遇が上がることも考えられます。

実際、系列系大手ビルメン会社で直近ベースアップしている会社は一定数あり、働き方もかなり柔軟になっている印象があります。

ビルメン業界の将来を脅かすAIの存在

ビルメン業界はAIによる代替が割と早く来るという指摘をする専門家の方もいます。AIの代替が想定される業務とテクノロジーをいくつかご紹介します。

点検業務の自動化

月次点検などの定期点検業務やその報告書の作成が自動化される可能性があります。例えば、日本ユニシスがビル・マンション管理会社向けに提供している設備点検支援サービス「まるっと点検」ではすでに下記のことができます。既に大和ライフネクストなどの大手に導入が進んでいるようです。着実にAIによる自動化が進んでいます。

・設備に取り付けたセンサーによって遠隔監視、異常検知、故障時期予告を行う

・点検結果を入力するだけで自動で報告書を作成してくれる

・現場作業員と管理者間での映像や音声の共有を可能にする

まるっと点検のサービスページ

清掃業務

ビルの清掃業務をロボって行うことが将来的に可能になるといわれています。海外に比べて価格や規定の問題でまだまだ普及はしていないですが、日本ビルメンロボット協議会が主導して、普及に向けて進めているようです。

ビルメンテナンスサービスの大手であるグローブシップ株式会社などですでに導入がされているようです。清掃業務も同じくAIによる自動化が進んでいます。

清掃ロボの導入事例

空調管理

BIM化によるIOTの活用で、施設全体のデータをためることができ、結果的にAIによる自動化が可能になります。その一例として、空調管理の自動化があります。

相鉄ビルマネジメントなどがすでにビルの空調管理にAIを導入し、自動化しているようです。

空調管理の自動化の事例

ビルメン業界で今後市場価値が高いであろう人

ここまでビルメンに関して、悲観的な内容が多かったと思いますが、今後も安定して需要がある巨大市場であることに変わりはありません。

現役の転職エージェントが今後市場価値がビルメン人材を考えてみました。

選任要件を満たせる人

AIによる自動化が進んでも、法律上今まで通り、特定の資格を持った人を配置しないといけない可能性が非常に高いです。

特に下記資格を持っている人は今後も変わらず市場価値が高いと思います。特に電気主任技術者は、ビルメン以外でも需要が高く、持っているだけでかなり仕事の幅が広がるのでお勧めです。

電気主任技術者

ビル管理士

ボイラー技士(特級)

一方、エネルギー管理士や冷凍機械責任者などの資格も選任ポジションがあるのですが、数が少ないため、転職活動をするタイミングでポジションがあるかどうかはかなり運要素が強いかなと思い、上記からは外しました。

マネジメント経験がある人

テクノロジーにより、純粋な設備管理員の人数は減ったり、資格や経験がなくても業務を行える可能性が高まる一方、その人たちをマネジメントする人材の重要度も上がります。

テクノロジーに知見があればベストですが、最悪PCが使えないなど、ITアレルギーがなければ問題ないと思います。

営業・販売職の経験がある人

テクノロジーの進化により、ビルメンという仕事が、技術職から顧客折衝も伴うフロント職にシフトしていく可能性があると思います。

既にこの傾向はあり、企業からいただく求人票に「営業経験者歓迎」「コミュニケーションの能力が高い」などの要件が含まれているケースは多々あります。

技術屋にとどまらず、顧客のビル資産の価値を上げられる提案ができることが求められていくことになりそうです。

まとめ

ビルメンの仕事の将来性やAIの影響について記載しましたがいかがでしたでしょうか?

悲観的な内容が多くなってしまいましたが、やはりAIによる影響は大きそうです。

とはいえ資格やスキルにより、厳しい時代を生き抜くことは十分可能ですし、他の業界が安泰かといわれると、そうではないです。(人口がかなり減るので、ほぼすべての産業が厳しい…

個人的に、無理せず稼ぎたいという人にビルメン業界は非常におすすめですので、ぜひビルメン業界で働くことを希望する方は、資格取得に励みましょう!

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