電験3種の資格を持つことは、技術者としての一つのステータスとされてきました。しかし、近年その市場価値について、多くの転職エージェントや業界関係者から異なる声が聞かれるようになっています。本記事では、電験3種の市場価値がなぜ下がってきているのか、そしてその背景にあるデータと事実を基に徹底解説します。資格を取得することの意義を再考し、キャリア形成に役立てるための情報を提供します。
電験3種は実は人手が足りている
厚労省が平成29年に出している「電気保安人材の将来的な確保に向けた検討について」によると、電験3種は実は2010年から既に需要に対して、資格保有者数が超過している状態です。需要80に対して、供給が230ほどなので、需要に対して3倍近く供給量が多いことになります。
一方、保安人材に関しては、保安法人向け3種は、業務ビルの増加と人材の供給減といった背景から、有資格者は徐々に不足し数年規模で不足する見込みが出ています。令和4年に、保安監督に必要な実務年数が5年から3年に変更されたのは、こういった背景がありそうです。
需要以上に資格保有者が増えているため、ここ数年で電験3種を持っていてもあまり稼げないという人が増えたように感じるというのが、実情に近いのではと考えています。電験3種を持っていても年収300万円代という方は珍しくないのがここ最近かなと感じています。
電験3種持ち実務経験ありでも年収330万円。茨城県50代男性の転職エピソード
保安人材では年収UPは見込めない
保安人材の市場価値が上がるとはいえ、独立してよほど高単価で契約を取ってくる等しない限り、年収800万円を超えるのは至難の業、よくて600万円前後というのが現状の市況感ではないでしょうか。
電験3種で年収を上げていくというキャリアプラン自体を見直す必要があるといえるかもしれません。
電工1種のほうが市場価値は高くなる見込み
一方、電工1種に関しては、2020年時点ですでに4万人程度の人手不足が発生しており、供給不足が2045年になっても解消されないという見立てを厚生労働省はしています。
工事需要が減少する保守的な予想をした場合でも、高齢の第1種電気工事士の退職により、供給不足が起こるという見立てを厚生労働省はしており、40代以下の電工1種保有者は今後ますます引く手あまたになりそうです。
ちなみに電工2種はというと、2045年に1万人程度の人手不足が発生する予想となっております。電工2種の市場価値も上がりそうですが、資格難易度や案件単価を考えると、電工1種保有者の待遇改善がまずは進むことが予想されます。
「稼ぎたい」という気持ちが強い方は、思い切ってビルメンから職人や施工管理の道に進むのも1つの手かもしれません。
設備管理・ビルメンで市場価値が高い人とは
ここまでビルメンに関して、悲観的な内容が多かったと思いますが、今後も安定して需要がある巨大市場であることに変わりはありません。現役の転職エージェントが今後市場価値がビルメン人材を考えてみました。
業界の将来予測も行いました、気になる方はこちらの記事を合わせてご覧ください。
設備管理・ビルメン業界の将来性は?AIによってビルメンは仕事がなくなるのか
選任要件を満たせる人
AIによる自動化が進んでも、法律上今まで通り、特定の資格を持った人を配置しないといけない可能性が非常に高いです。
特に下記資格を持っている人は今後も変わらず市場価値が高いと思います。特に電気主任技術者は、ビルメン以外でも需要が高く、持っているだけでかなり仕事の幅が広がるのでお勧めです。
電気主任技術者
ビル管理士
ボイラー技士(特級)
一方、エネルギー管理士や冷凍機械責任者などの資格も選任ポジションがあるのですが、数が少ないため、転職活動をするタイミングでポジションがあるかどうかはかなり運要素が強いかなと思い、上記からは外しました。
マネジメント経験がある人
テクノロジーにより、純粋な設備管理員の人数は減ったり、資格や経験がなくても業務を行える可能性が高まる一方、その人たちをマネジメントする人材の重要度も上がります。
テクノロジーに知見があればベストですが、最悪PCが使えないなど、ITアレルギーがなければ問題ないと思います。
営業・販売職の経験がある人
テクノロジーの進化により、ビルメンという仕事が、技術職から顧客折衝も伴うフロント職にシフトしていく可能性があると思います。
既にこの傾向はあり、企業からいただく求人票に「営業経験者歓迎」「コミュニケーションの能力が高い」などの要件が含まれているケースは多々あります。
技術屋にとどまらず、顧客のビル資産の価値を上げられる提案ができることが求められていくことになりそうです。
まとめ
厚労省のデータによれば、電験三種の資格保有者は需要に対して既に供給過多の状態です。2010年から保有者数が需要を大きく上回り、市場における電験三種の価値は変化しています。保安人材全体では不足が懸念されていますが、電験三種保有者では均衡が保たれており、保有しても年収が上昇しづらい現状があると指摘されています。
対照的に、第一種電気工事士や電工二種は人手不足が予測され、市場価値の高まりが期待されます。これらの動向は、電験三種資格保有者のキャリアプラン見直しを迫るものと言えるでしょう。
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