漏電遮断器の基本とは?記号から感度電流まで初学者向けに徹底解説

漏電遮断器の基本とは?記号から感度電流まで初学者向けに徹底解説 電工2種
漏電遮断器の基本とは?記号から感度電流まで初学者向けに徹底解説

漏電遮断器は、電気安全の守護者とも言える重要な装置です。しかし、その記号や感度電流、設置基準などの専門的な知識は、多くの方にとってなじみが薄いかもしれません。

この記事では、漏電遮断器の基本から、その仕組みや機能を初心者でも理解できるように、図解と共に徹底解説していきます。安全な生活環境を保つために、私たちの身の回りで静かに働く漏電遮断器の役割に迫りましょう。

漏電遮断器とは?

漏電遮断器は、家庭やオフィスなどの建物における電気安全の要となる装置です。この小さなヒーローは、電気が意図しない経路を流れる「漏電」を見つけ出し、速やかに電源をカットすることで、感電事故や火災を防ぎます。では、この装置がどのようにして私たちを守っているのか、その仕組みを簡単に解説しましょう。

そもそも漏電とは?

まず、「漏電」とは何かを理解する必要があります。電気が配線や機器の絶縁不良などから「漏れる」現象を指し、これが人体に触れると感電の危険があります。特に湿気の多い場所では、漏電のリスクが高まります。

漏電遮断器の基本

漏電遮断器は、このような漏電を検知すると、数ミリ秒という短い時間内に電路を遮断し、電気が流れない状態にします。これにより、感電や火災のリスクを大幅に減少させることができるのです。

この装置は、単に漏電を検出するだけではありません。多くの漏電遮断器には、過電流からも私たちを守る機能が備わっています。例えば、ある回路の定格電流が100アンペアである場合、120アンペアの電流が流れると、回路が損傷する恐れがあります。漏電遮断器は、このような過電流が流れた際にも自動的に電路を遮断し、電気設備の安全を保ちます。

英語では「ELCB」と呼ばれ、この略称は以下のような意味を持ちます:

  • E:Earth(アース)
  • L:Leakage(漏れ)
  • C:Circuit(回路)
  • B:Breaker(ブレーカー、遮断器)

つまり、漏電遮断器は「地球(接地)からの漏れを検出し、回路を遮断する装置」という意味合いを持っています。

一般的なブレーカー(配線用遮断器)とは異なりますが、多くの漏電遮断器は配線用遮断器の機能も併せ持っており、電気設備を過電流から守る役割も果たしています。

漏電遮断器とブレーカーの違い


漏電遮断器とブレーカーは、どちらも電気安全を守るための重要な装置ですが、役割には大きな違いがあります。

ブレーカー、正式には「配線用遮断器」と呼ばれるものは、過電流が流れた際に自動で電路を遮断する装置です。家庭でよく見るこのブレーカーは、電気が多く流れすぎると、熱や磁気の作用を利用してスイッチが「オフ」になり、電流を止めます。これにより、電線が過熱し火災を引き起こすのを防ぎます。

一方、漏電遮断器は、電気が本来の回路を逸脱して「漏れる」のを感知し、即座に電路を遮断する装置です。漏電は、絶縁不良や水濡れなどで起こり、人が触れると感電する危険があります。漏電遮断器は、このような漏電を検知すると、わずかな電流でも速やかに回路を切り、感電や火災のリスクを減らします。

簡単に言うと、ブレーカーは「電流が多すぎる」ことに反応し、漏電遮断器は「電流が漏れている」ことに反応するのです。どちらも安全を守るためには不可欠で、互いに補完し合う関係にあります。

漏電遮断器の記号

漏電遮断器の記号は上図に示す通りです。

配線図において漏電遮断器はEを四角で囲ったもので表現されます。過負荷を遮断する機能を持った漏電遮断器はBEを四角で囲います。

図面においてはどちらも「ELCB」と表記されます。

漏電遮断器の動作原理


漏電遮断器の動作原理を理解するには、「電流のバランス」という概念が鍵となります。電気は、使用する機器へ向かう「行き」の電流と、使用後に戻ってくる「帰り」の電流があり、正常な状態ではこの二つの電流は同じ量です。

しかし、漏電が発生すると、このバランスが崩れます。なぜなら、漏電とは電流が予期せず地面に流れ出てしまうことを意味し、その結果、帰りの電流が行きの電流よりも少なくなるからです。漏電遮断器は、この電流の不均衡を感知すると、すぐに電路を遮断して電気の供給を停止します。これにより、感電や火災のリスクを防ぐことができます。

この検出作業は、「零相変流器」という特殊なコンポーネントによって行われます。零相変流器は、電流の流れを監視し、行きと帰りの電流に差があるかどうかを常にチェックしています。もし差があれば、それは漏電が発生している証拠となり、漏電遮断器が作動する信号となります。

このように、漏電遮断器は電流の微妙な変化にも敏感に反応し、私たちの生活空間を守るために不可欠な役割を果たしているのです。

漏電遮断器の感度電流について


漏電遮断器の「感度電流」とは、この装置が電路を遮断するために検出する必要がある漏電の最小の電流のことを指します。これは、漏電遮断器が安全を確保するために反応する漏電の「しきい値」のようなものです。感度電流の設定値は、漏電遮断器によって異なり、その値によって漏電遮断器の反応の鋭敏さが決まります。

例えば、ある漏電遮断器の感度電流が15ミリアンペア(mA)に設定されている場合、15mA未満の漏電では遮断器は作動しませんが、それを超える漏電が発生した場合には即座に電路を遮断します。これにより、感電の危険性を減らし、電気火災を防ぐことができます。

漏電遮断器の種類

漏電遮断器には「高感度」「中感度」「低感度」といった異なる感度レベルがあります。

  • 高感度、中感度、低感度
  • 高速形、時延形

高感度のものは小さな漏電でもすぐに検出し、中感度や低感度のものはより大きな漏電を検出するために設計されています。また、「高速形」と「時延形」という動作時間の違いを持つ漏電遮断器もあり、これは漏電が続く時間に応じて作動する速度が異なることを意味します。高速形は即座に反応し、時延形はわずかに遅れて反応します。

設置環境によっては、高感度の漏電遮断器が過敏に反応しすぎてしまうことがあります。例えば、大きな電流を扱う配電盤に高感度の漏電遮断器を設置すると、小さな漏電で全体が停電してしまう可能性があります。これは、特に大規模な施設や工場などでは、運用上の問題を引き起こすことがあります。そのため、大電流を扱う場所では感度を抑えた漏電遮断器を、小電流の場所ではより高感度のものを選択することが推奨されます。

このように、漏電遮断器の感度電流は、その使用場所や目的に応じて適切に選ばれるべきであり、安全と利便性のバランスを考慮して設定される必要があります。

漏電遮断器の設置基準について

漏電遮断器の設置基準は、電気を安全に使用するための重要なガイドラインを提供しています。これらの基準は、電気設備の安全規制を定めた内線規定によって規定されており、特定の環境や条件下での漏電遮断器の設置を義務付けています。

住宅における電路は、日常生活で頻繁に使用されるため、漏電遮断器の設置が推奨されています。これは、万が一の漏電が起こった際に、感電や火災を防ぐための予防措置です。ただし、これはあくまで推奨であり、法的な義務ではありません。

一方で、屋外や雨が直接かかる可能性のある場所に設置される電気機器に関しては、対地電圧が150ボルト以下であっても、漏電遮断器の設置が義務付けられています。これは、水分が電気機器に侵入することで絶縁不良を引き起こし、漏電のリスクを高めるためです。雨水にさらされる環境では、水が電気の流れを変え、本来の経路ではない場所へと電気が流れてしまうことがあります。これが漏電であり、感電や火災の原因となり得ます。

したがって、屋外や湿気の多い場所で使用される電気機器には、安全を確保するために漏電遮断器が絶対に必要です。これにより、雨や湿気による電気機器の絶縁不良から発生する漏電を迅速に検出し、電路を遮断することができます。漏電遮断器の設置は、私たちの生活や財産を守るために不可欠な安全対策の一つと言えるでしょう。

まとめ

漏電遮断器は、私たちの生活を静かに守る安全の番人です。この記事を通じて、その基本的な機能から記号の意味、感度電流の重要性に至るまで、初学者の方にも理解しやすいように解説しました。漏電遮断器の正しい知識が、より安全な電気生活を送るための第一歩です。

今後もこのような安全装置の役割や機能を正しく理解し、日々の生活に活かしていただければ幸いです。安全は知識から始まります。

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